深き海より、蒼き樹々の呟き

by 深海 蒼樹(ふかみ そうじゅ)

*

キミは、カモノハシを見たか?(3)

      2014/09/19

カモノハシ

 シリーズもののため、最初から読みたい方は、こちら(キミは、カモノハシを見たか?(1))こちら(キミは、カモノハシを見たか?(2))から、どうぞ。

 オーストラリアという国は、動物学的にもとても面白い動物が多い土地であることは、前回前々回でも述べたとおりなのだけれど、ここであらてめて言うまでもなく、カモノハシが生息しているのは、オーストラリアだけである。
 では、生息はしていなくても、日本にカモノハシがいるかどうか、日本でカモノハシが見られるのかというと、残念ながら、日本の動物園で、カモノハシが飼育された記録はない。おそらく、誰よりも半ズボンがよく似合う小学生だったあの頃の僕は、この、オーストラリアに行かなければ見られないという希少性に、子供ながらすっかりやられてしまったような気もする。

 そう言えば、昔々、東京で世界都市博覧会(1996)というものが企画されたのだけれど、その後バブルがはじけはじめて、開催するとかしないとか賛否両論あって、結局のところ、青島幸男氏が東京都知事になって中止を決定したなんてことがあった。その世界都市博覧会を企画した段階で、博覧会側はオーストラリアにカモノハシの展示誘致を試みていたらしい。
 カモノハシ好きの僕が言うのもアレなんだけれど、カモノハシの展示誘致っていうセンスはどうなんだろう? 思い返せば、80年代というか、バブル期というか、あの頃は、コアラブームがあり、エリマキトカゲブームがあり、ウーパールーパーブームまであった。

 要するに、あの流れのなかで、以下のような会議がどこかで繰り広げられていたのかもしれない、
「オーストラリアにはまだまだ珍しい動物がいるんじゃねぇのかぁ?」
「エミューなんていうのもいますけど、どうです?」
「なんだ、そりゃ?」
「オーストラリアの国鳥で、所謂、飛べないダチョウで、前には歩けるんですけど、後ろ向きに歩けないというか、後ずさりができない鳥なんです。どんなことがあっても後ずさりをしない=前にしか進まない、ってことで、オーストラリアの不屈の精神を表しているとか」
「って、なんだ、これ、でかいし、別にこんなのに似たやつなら日本にもいるだろう」
「それじゃあ、ウォンバットなんてのはどうです?」
「ウォンバット? なんだこりゃ、間の抜けたような顔だなぁ」
「先住民の言葉で、『平たい鼻』ってのが、ウォンバットって言うんですよ」
「まぁ、ちょっと、保留だな、これは」
「それじゃあ、タスマニアではなくオーストラリア本土で化石が見つかったことにより、その生物学的分類を見直そうという動きがあった、タスマニアンデビルなんてのはどうですか?」
「なんだって? そんな不吉な名前の生き物がいるのか?」
「ってか、生物学的分類の見直しとか、そんなことでお客が呼べると思ってるのか?」
「もっと、今までになかったような、斬新で子供受けするような珍獣は、いないのか?」
「そういやぁ、学校の授業でカモノハシって習わなかった? あれって、なにかの理由で、珍しいんじゃなかったっけ?」
「なんだっけ、そうだ、卵を産む哺乳類」
「なんで、哺乳類なのに、卵を産むんだよぉ、ややこしいなぁ」
「そんなことより、どんな見た目なんだ?」
「これですよ、これ」
「なんだこの靴べらみたいな口は…、でもまぁ、イラストにもしやすいし、そこそこいい感じじゃねぇのか」
「今まで、日本には1回も来てないみたいですよ」
「それなら目玉になるぞ、とりあえず、それでいってみようぜ」

 その後、どういう交渉が、世界都市博覧会の関係者とオーストラリア政府関係者の間で行われたのかはわからないが、オーストラリア側はこのオファーを断っている。そして、世界都市博覧会そのものも中止されてしまった。
 もしも、世界都市博覧会が1996年に開催され、カモノハシが来日していたなら、どうなっていたんだろう? カモノハシは、一躍、日本中の人気者になっていたんだろうか? もしもそうなっていたら、僕自身も少しは人気者になれていたのかもしれない。
 僕が、オーストラリアのタロンガ動物園にカモノハシを求めて行ったのは、1993年のことだった。

 (つづく………)
つづきは、こちらキミは、カモノハシを見たか?(4)

 - キミは、カモノハシを見たか? , ,

Comment

  1. オオコシ より:

    私、64才になりますが、11才位の頃に茨城県の沼のような川ですが、カモノハシを見ました。死んでましたが、動物の体にアヒルのクチバシが付いている、奇妙な姿は今でも鮮明に覚えています。父親に聞いたところ、カモノハシと言ってました。今でもたまに周りの人に、カモノハシって見たことあるっ?と聞いても誰も知りません。

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