深き海より、蒼き樹々の呟き

by 深海 蒼樹(ふかみ そうじゅ)

*

カテーテル検査よ、やはりお前もかぁ…って話(2)

   

 おそらくこの調子でいくと、またしてもこの「カテーテル検査よ、やはりお前もかぁ…って話(1)」シリーズは終わらない。という危惧のもと、ぼくが倒れたときの話は大幅に端折ることにした。とっても残念だけどそこに時間を費やしているとタイトルになっている「カテーテル検査」まで到底到達する気がしないのだ。ここはお互いに我慢をして先にすすむことにしよう。

 要は、ぼくは不覚にも2回目の失神まで果たしてしまった。さいわいにも車庫の車止めのコンクリートブロックの角っこに頭を打つことはなんとか回避できた(いや、失神してたんで自力で回避したわけでもなく、ただただ運がよかっただけなんだけれど)が、右側頭部にできたたんこぶはながらく腫れがひかなくて、咀嚼するたびにそれなりの痛みが走り、そろそろ散髪に行きたいと考えていたのに側頭部を押さえられることを想像するだけで激痛が走って、ぼくは不本意な髪型のまま2週間ちかくを過ごさなければならなかった。まぁぼくのヘアースタイルに関心がある者がこの世にひとりも存在しないことに気づいた貴重な2週間でもあったわけだ。

 で、本題に入っていきたのだけれど、少し病院というものの予習をしていこうと思う。今日は、2020年の5月だ。新型コロナウィルスの感染拡大にともなった『非常事態宣言』は延長され、各自治体や地域によっては諸々の『要請』が解除されていたりはするものの、基本的には『外出自粛』が継続されている。医療従事者の方々には、感謝と尊敬の気持ちしかない。それはなにも現在の状況に至っているからというわけではなく、10年前の重症急性膵炎で丸々2ヶ月の入院生活を通しても、はたまた、その後2年連続での入院、今回7年ぶりの検査入院においても、医療従事者の人たちへはずっと感謝の気持ちを持ちつづけている。

 この記事を書きはじめたきっかけは、カテーテル検査後に訪れた苦痛にあった。そして、上にも書いたようにこの10年間、何度かの入院と検査の経験を繰り返すなかで「検査」とか「治療」とか「医療」についてぼくにも思うところがでてきた。それは苦情とか日本的クレームとかではなく、うーん、こんなことがあるよねっていうことだ。「世の中にはもっと苦しんでる人がいる」と言われてしまえば、いかにもぼくがわからずやで我慢を知らない大人のようで恥ずかしくなってしまう。だけど、やっぱり書いておきたいと思ったのだ。それが患者という立場の人へなのか、医療従事者の人たちへなのか、それとも医療機器開発者の方へなのか、判然とはしないけれど書いておこうと思う。

 で、さっきも言ったように今回のカテーテル検査を受ける前の話だ。それはこれまたさっき言ったように、10年も前の話になる。ぼくは急性膵炎でICU(集中治療室)にいた。今回のコロナの件でICUの病床数うんぬんということが取り出さされ、一気に注目を集めてもいる集中治療室だ。ガラス張りの部屋で、そのガラス越しにヒロインが彼を見つめて涙していたりする、あの集中治療室だ。と、ぼくも自分が入るまでは、集中治療室とはそういうものだと思っていた。
 しかし、ぼくが入ったのが地方の公立病院だったからとか、そういうことではなくて、ぼくが入った集中治療室は病棟のナースセンターの裏に置かれたベッドのことだった。少し盛ってる。ベッドだけということはなかった。家族が座る椅子もあった。衝立てのようなものもあった気がする。ただ、そこがどういう場所かと言うと、ナースセンターとその裏にある医療従事者専用のエレベーターをつなぐスペースだったのだ。
 そんな場所に集中治療室があることに納得がいかない読者は、もう一度、頭のなかの映画のシーンを忘れて考えてみてほしい。集中治療室の肝心要の重要な条件とは。
 『医師や看護師が24時間体制で患者のことを見てくれている』
このことに尽きる。

 体のあちこちにいろんなものをくっつけられ、挿し込まれ、つながれ、巻かれて、ぼくは1週間ほどをその集中治療室ですごした。ただ、あまりよくは覚えていない。意識はあったはずなのに、途中からぼくの記憶は曖昧だ。現実と夢と妄想の境目がなくなっていった。
 時間が経つのが遅くてつねにイライラしていた。そして、眠れなかった。ぼくの記憶ではぼくは1週間ほぼ一睡もしていない。そんなことはありえないはずだ。でもぼくはいまでもひょっとしたらほんとうに1週間一睡もしてなかったのではないかと思うときがある。
 体につながれた機器はいつも調子が悪くてぼくのすぐそばでピーピーと不快な音を出しつづけた。終わっても終わっても次々にまた新しい点滴袋に針が刺されていく。
 そんな部屋でぼくはたったひとつのことだけを命じられていた。

 「とにかく、じっと天井を見ていてください。もちろん寝返りを打ってはいけません。同じ姿勢でつらいでしょうが、足も腰も腕も動かさないように。ただただじっと天井だけを見つめていなさい」

………つづきは、また………

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