深き海より、蒼き樹々の呟き

by 深海 蒼樹(ふかみ そうじゅ)

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『村上さんのところ』にメールを送ってみた

      2015/02/18

sea_and_bird

 村上春樹さんがあなたの質問に答えますという謳い文句で、新潮社が、村上さんのところというサイトを立ち上げた。期間は、2015.1.16.-31の、半月間ということだ。
 新潮社のサイトには、村上春樹氏が、わざわざこう書いている。

僕は送られて来たメールにひととおり目を通しますし、すべての返事はちゃんと自分の手でぱたぱたと書いています。アシスタントや編集者に適当に書かせて、署名だけしているわけではありません。ほんとに。しかしひと昔前とは違って、今ではどこからでもメールできるし、おそらくたくさんの数のメールが送られてくるのではないかと予想されます。残念ながら身がひとつしかないので(ふたつもあると意外にしつこいかも)、全部に返事が書けるわけではありません。ですから「返事が来なかったよ」とがっかりされる方もおられるかもしれませんが、どうかそのへんはご容赦ください。

 僕が掴みとった要点は、こうだ。
 返事はこないかもしれない。けれど、もしも、届いたなら、それは村上春樹氏が自分で書いた返事だ。そして、たとえ返事が来なくても、村上春樹氏本人が僕のメールに目を通すことは間違いない。
 甘いかもしれないけれど、僕は、彼を全面的に信用する。
 村上春樹氏がわざわざ言うのだから、彼はそれを実行するだろうし、少なくとも最大限の努力をするのが、彼のはずだ。

 このブログでも、何度も村上春樹の小説について取り上げ、好き勝手に書いている。
 僕と村上春樹と中学2年の娘へのクリスマスプレゼントは、今から、4年ほど前に書いたものだ。当時中学2年だった娘は、高校3年生になり、今日がセンター試験初日だったりした。
 僕の実感としては、村上春樹との、過ぎた蜜月について、語ろう(1)に書いたように、どっぷりと彼の作品に心酔していたのは、過去の話になってしまった。
 それは、決して彼が悪いわけでも、僕が心変わりしたわけでもない。それなりの時間が、過ぎていったせいでしかない。
 どんなに時間が経とうが、変わらぬ愛もあるではないかと、あなたはご機嫌を損ねるだろうか?
 愛がなくなったとは、僕はひとことも言っていない。ただ、蜜月と言っていいほどに寄り添っていた甘い時期は、過ぎていったねと言いたいだけだ。勿論、今後において、二度目の蜜月が来ないとは断定できない。

 それにしても、村上春樹という作家が、僕にとって特別な作家であることは、今までも今後も変わりようがない。
 そして、出版社の企画とは言え、なんでも質問していいよと、向こうから言ってくれているわけだ。1200文字以内という条件はあるにしても。
 しかしながら、昔からそうであるように、僕はこういったものに不向きな人間だ。元来が面倒くさいことが大嫌いな性格なもので、『よし、せっかくだから、なにかメールしてやろう!』と言ってはみるものの、大抵それを実行することはない。
 あぁだ、こうだ、あぁでもない、こうでもないと考えているうちに、こんなんだったら送らないほうがマシだ。と、ついつい結論づけて逃げてしまう。それが、僕という人間だ。
 まぁ、50歳も過ぎて、そういうことが自分でもよくわかってきたので、そんな自分を敢えて裏切ってみたくもなって、メールを送ってみた。
 自分で言うのもなんだけれど、内容は、トホホなものだ。それでも、なにかを、村上春樹氏にぶつけてみたかったのだ。ぶつけると言うと大袈裟だが、まさしく何かを伝えたいというか、聞いて欲しかったのかもしれない。トホホであれ、なんであれ。

 というわけで、送ったことだけで、一応の満足をしてしまってるわけではあるけれど、返事が来たらなおのこと嬉しいかもしれない。
 いや、ここは素直に、返事が来たらうれしいな、と書いておこう。

 - 村上春樹 ,

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