深き海より、蒼き樹々の呟き

by 深海 蒼樹(ふかみ そうじゅ)

*

バッテリー

   

battery

 新品の頃は、電源に挿して、えっ、もう充電できたの?って感動するくらい早く、フル充電が完了した。
 電池の減りだって、おいおい本当に大丈夫なのか? 少し休んだほうがいいんじゃない?って、こっちが気を使うくらい、長持ちしてた。
 でも、それも、新品でイキのよかった頃の話だ。新しくいろんなアプリだって入れられて、空き容量の少ない中、無理をして起動し、誤魔化しながらもなんとか処理をこなしてきたことだろう。
 しかし、それも限界になり、処理中にしばしば落ちるようになり、そのうち、起動中にすら落ち、遂には、起動すらあきらめざるをえない時がくる。

 フル充電で出かけ、ほとんど使うこともなく終わった一日の帰り道、ふと目に入ったバッテリー残量が、あまりに少なくて驚いた日もあった。
 電池の減りが早くなってることに気づいて、ちょくちょくチェックするようになったある日、今日は調子がいいのか減りが遅いな、なんて油断していたら、放置して使っていないにもかかわらず、いや、誰かオレの携帯を勝手に使って長電話をしたのかってくらいに、減ってたこともある。
 もう、表示されているバッテリー残量を、信じることすらできなくなる日々。
 空き容量を工夫して、なんとか節電アプリなんかも入れてみる。なぜだろう? 僕のなかで、ふと、駅前で慌てて栄養ドリンクを飲んでいるサラリーマンの姿がチラつく。

 たまにはリフレッシュさせてやろうと、使いもせず、電源まで切って、ゆっくり充電しようと電源につないでも、なかなかフル充電されない。座席で深い眠りについたまま、降りる駅を乗り過ごしたサラリーマンを、僕はまた思い浮かべてる。
 しかも、時間をかけて十分に充電したはずなのに、さぁ出かけようと手にした時には、ほら、もうバッテリー切れになってる。

 今日、僕は、休みだった。十分に睡眠をとり、軽い運動にサッカーボールのリフティングもしたし、大好きな娘と他愛もない話をして笑い転げたりもした。
 これでどれだけの時間もつかは、わからない。携帯やスマホのように、バッテリーを新品に取り替えるわけにもいかなければ、最新機種に機種変ってわけにもいかない。
 まぁ、それでも、いいさ。誰だって、そういうもんなんだろうし、僕にかぎったことでもないはずだ。
 ゆっくりと深呼吸をして、背伸びでもひとつしてみようか。

 - 日記みたいなもの

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