深き海より、蒼き樹々の呟き

by 深海 蒼樹(ふかみ そうじゅ)

*

人間とは、思いやりで、できた動物だ

   

 人間とは、いかなる環境やものにでも、いつかは慣れてしまう動物だと、高校の世界史の大西は、僕らに言い放った。

 そうだ、発端は、授業中だった。
 話の流れは忘れたけれど、
 『オレ、実は、学生結婚だったんだ』
と、当時30代半ばだった大西が、言い出した。
 それを聞いた僕らは、『学生結婚』というひとことから、一気に下衆で下半身的な妄想へと暴走し、
 「大西〜、てめぇ、学生の頃からやりまくってたのかぁー」
と、責め立てるように、大西を囃し立てた。

 だって、僕は、17歳で、女の子の唇さえ知らなかった頃の話だ。
 そして、そんな僕らに対して、大西が放った、大人としてのひとことが、
 『人間とは、慣れる動物だ』
という名言だった。
 しかも、童貞ぞろいの男子高校生だった僕らに対して、
 『あんなもん、結婚3年目くらいでとっくに飽きるわ』
とまで言い放ったのだ。
 勿論のこと、若き妄想の虜であった僕らは、
 『大西〜、もう、飽きるほどやったんかぁ〜』
という、更なる、妬みまみれの妄想をかきたてたのだった。

 というわけで、僕も、大西の真似をして、『人間とは…』と、語ってみようと思った。
 それが、
 『人間とは、思いやりで、できた動物だ』
だった。
 ただ、それだけの、話。
 あとの話も、先の話もない。
 ただ、それだけで、ただ、それでいいじゃないか、という話。

 人間という動物は、思いやりでできている。



 - 日記みたいなもの

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