深き海より、蒼き樹々の呟き

by 深海 蒼樹(ふかみ そうじゅ)

*

秋を楽しむ

   

akino_shuukaku

 天気のいい日がつづいている。暑すぎることもなく、寒すぎることもなく、長袖のシャツを腕まくりして着ているのが丁度いいくらいが、僕の理想だ。

 夏は、薄着で済むのは楽だけれど、それだと、このだらしのない身体を隠し切れてないような、一抹の不安と恥ずかしさに襲われてしまう。もちろん、僕が思っているほどに、人は僕のことを気にもとめていないだろうけれど。

 冬は、とにかく、寒くてツラい。何重にも重ね着をしていると、その服の重みだけで肩が凝ってしまいそうだ。そして、センスのない僕は、かならずその重ね着のなかにNGな取り合わせを入れてしまう。
 僕が思っているほどに、人は僕のことを気にしていないくせに、そういうところだけは、きっちりと見られてしまうのだ。

 季節なら、春と秋がいい。それは、昔からさして変わらない。
 中学2年生のとき、クラスの担任が、『四季のなかで、どの季節が好きか』という質問を投げかけたことがあった。僕は、迷わず、『春』のときに、手をあげたけれど、その数は意外なほど少なかったのを覚えている。

 一番人気は、『夏』だった。
 理由は、あなたの予想通り、「夏休みがあるから」だった。
 二番人気は、『秋』だった。
 その理由は、これも、あなたの予想通りかもしれない。その女子が発言したあと、クラスは暖かい笑いに包まれた。
 彼女は、言った。
 「秋は、食べ物がおいしいからです。特に、私は、サツマイモが、好きです」
と。

 あれから、あの時には、想像もできなかった35年という膨大な時間が、過ぎていったことになる。年齢的には、僕らは、あの頃の4倍近い年齢に達している。
 もう一度、同じ質問を投げかけたなら、クラスメイトは、どう答えるだろう?

 僕らは、いま、人生の秋にさしかかっている。

 - ひとりごと

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